こんにちは。らうんどとりっぷの鈴木さんです。
この記事はTrick-taking games Advent calendar 2020の11日目の記事です。
2週間遅れになってしまいました。本当すみません
シュティッヒルン、アメリカンブックショップ、ハリウッドセンセーションとちょっとトガったトリテを過去に紹介してきているらうんどとりっぷなのですが、実のところボードゲームカフェとしては「ゲーム好きな中級者も、ボードゲームを初めて遊ぶ方も等しく楽しめる優しい場をつくる」ことを目的としています。
決してトガった店を目指しているわけではないのです。
そしてらうんどとりっぷはトリテに力を入れています。
というわけで、今回は初心者におすすめするトリックテイキングゲームについて書きたいと思います。
専門用語がどうしてもいくつかあり、玄人好みな印象もあるトリテに対して、初心者がトリテに苦手意識を持たずに興味を持ち、かつ好きになってもらえるためにどうするか、というのが僕自身の、そしてこの記事のテーマです。
書き始める前に少しだけ絞らせてください。
まず初心者は今回「トリックテイキングというゲームを初めて遊ぶ」という人を指しています。
またトリテと言っても、トランプトリテは今回除外しています。
フレーバーがあることによってゲームに入り込みやすく、感覚をつかみやすいのではないかと考えるためです(例えば、切り札スートをマークで指定されるよりも色で指定された方がわかりやすいとかそういうことです)
閑話休題。
さて、僕の考える「トリテ初心者にもわかりやすいトリテ」は以下の3条件です
- スートがある
- トランプに近いランク
- マストフォロー
ウノや大富豪(つまりゴーアウト系)に慣れ親しんでいる日本人としては、トランプ同様にスートがあり、またトランプに近いランクが受け入れやすいのではないかと考えています。
マストフォローはちょっと観点が違って、メイフォロー(なんでも出して良い)はジャンルとしてのトリテを知らない人に勧めるにはジャンルそのものの誤解が生まれやすいのではないかと考えています。またプレイ感としてもマストフォローの方がプレイに制約が出てなんとなく「トリテしてる感」が出るので良いかなとも思います。
またこの記事では”比較的手に入りやすい”トリテを対象にしています。
手に入りやすいと言いましたが手に入るとは言っていないので、入手にがんばっていただく必要があるかもしれません。
購入する場合は、アーチゲームズさん、バネストさんあたりはかなりトリテを通販で取り扱っていたりしますので、まめに覗いてみると良いでしょう。あとはAmazon.comとかも便利です。
初心者におすすめするトリテの条件付き一位「ザ ・クルー」
ザ ・クルーのシステム
- 4スート + 切り札スート
- ランクは1〜10、切り札スートのみ1〜4
- マストフォロー
- 協力ゲーム
ドイツ年間ゲーム大賞2020のエキスパートを受賞したのでみなさんご存知かと思います。最近のトリテはどうしてもルールが複雑化する傾向にある気がします(刃牙風に言えば、トリテという鉱脈は掘り尽くされたと考えられているからではないかと思います)。そんな中でシンプルなルールで抜群のゲームとなったザ ・クルーは本当に素晴らしいと思います。
トリテ初心者にはまずはザ ・クルーを薦めたいと思います。
良いと感じている点
・オーソドックスなルールで切り札あり。
・同じ強さのカードが出た場合に先勝ち/あと勝ちを考えなくて良い
・協力ゲームなので、うまくプレイできなくて全然勝てないということが発生しない
・突き詰めると成功か失敗かしかないので、得点などによりうまくいかなかった部分が可視化されることが少ない
ただし条件付きです。
協力ゲームで割とよくあることではないかと思うのですが、中級者以上と初心者が同卓した場合に「自分が間違えたことでチームが失敗した。申し訳ない」と考えてしまう人が一定数います。
人となりがわかっていてそういう凹み方をしない方であるか、そうでなければ全員が同程度の初心者か、であればザ ・クルーは完璧なトリテ導入ゲームだと思います。
トリテ初心者におすすめするトリテたち

ザ ・クルー以外では、ウィザード、ブラックスパイ、テキサスショーダウンといったトリテたちを候補に挙げたいと思います。
ウィザード | ブラックスパイ | テキサスショーダウン | |
フォロー | マストフォロー | マストフォロー (数字もフォローできる) | マストフォロー |
切り札 | あり (ウィザード) | なし | なし (出された枚数が一番多いスートが切り札になる、とも言えますが。。。) |
スート | 4 | 5 | 8 |
ランク | 1〜13 | 1〜11 ただし黒スートの7は計5枚ある | 0〜74 途中抜けあり。 同じ数字のカードは1枚しかない(スート間で数字の重複なし) |
得点方式 | ビッド | 特定のカードをとるとマイナス点 | トリックをとるとマイナス点 |
備考 | 必ず負けるカード(ジェスター)がある | ・作者はチケライのアランムーン | 前に出た全てのスート全てがフォロー対象になる |
ウィザード

ウィザードはかなりシンプルなビッド系トリテです。
勝ち数を予想して、当たれば得点になります。
得点は獲得したビッドが当たった場合、20点 + 獲得トリック数×10
ビッドを外した場合 ビッドと実際の勝利点の差 * -10点
初心者にはウィザードを通して、勝つべきトリックで勝つこと、負けるべきトリックできちんと負けることを学んで欲しいと考えています。
ただ若干シンプルすぎて、エキスパートには物足りないと思います(一度差がつくと逆転はなかなかできませんし)
そういう方はカード特殊効果があったりミゼールで得点の上下が大きくなったりするスカルキングレジェンドを遊ぶか、スート別に勝ち数予想をするウィザードエクストリームでヒャッハーしましょう。もしくはノコスダイスでビッド数さえコントロールできない苦しさを楽しみましょう
ブラックスパイ

ブラックスパイはトリックを取ってはいけないタイプのトリテです。
いくつかのカードにマイナス点が振られておりこのカードを取らないようにします。
マイナス点は、ランクごとに得点が決められており、1点のカードから最大で10点/枚のカードまであります。
ブラックスパイを通して「どうやったらこのカードを他人に押し付けられるか」を学んでもらえたらと思います。
ブラックスパイに慣れてきた中級者・エキスパートのみなさまは、アメリカンブックショップで「少し取るとマイナス点ですが、たくさん取ればプラス点になる」ルールを楽しみましょう
テキサスショーダウン

テキサスショーダウンはブラックスパイと同じくトリックを取ってはいけないタイプのトリテですが、ややカテゴリー分けしにくいです。
各スートでランクは重複せず0〜74まで、10の位で0〜7までが8スートに分かれています。
マストフォローなのでリードカラー(A色とします)をフォローできない場合は新しいスート(B色とします)を場に出すことになりますが、その次のプレイヤーはA色もしくはB色をフォローできます。
そして一番多く出されたスートの中で、一番大きい数字を出したプレイヤーがトリックを獲得します
テキサスショーダウンを通して、カウンティング(このスートはあと何枚あるか、今出したらこれは誰かフォローしてくるのか)を学んでもらえたらと思います。
テキサスショーダウンではものたりない中級者・エキスパートのみなさまは、シュティッヒルン(メイフォロー。リードカラー以外は全て切り札。自分の指定した色を獲得するとマイナス点)で苦しみを楽しみましょう
らうんどとりっぷは隔週金曜日にトリックテイキング会を開催しています。
どなたでも参加できますので気軽にご参加ください。